キャリアって何さ
言いたくなる。
私たちは時々、それに縛られて自分を見失う。
コーチングをさせていただいている頭のいい素敵な女性。
大手金融機関で働いている。
あと3ヶ月で初めての出産予定で、お腹の赤ちゃんはとても順調。
もうすぐ産休に入るところで、仕事の引継ぎも順調に終了しつつある。
それなのに、最近毎日情緒が不安定で、しまいには体中に湿疹がでてしまい、痒くて眠れず、旦那さんにもあたってしまうとのこと。
お話しを聞いていくと、仕事のキャリアを途切らせることに対する不安が原因。
彼女は営業職で、自分の担当のお客様を持っている。これまで、お客様に認められることで会社から評価されて重宝されていた。その評価が彼女の自信であり、仕事のやりがいになっていた。
それが、仕事を休むことで、一番大切なお客様を後輩に引継ぎ、手放さなければならない。
産休、育休から戻った後の自分はどうなるんだろう、自分の価値をまた作れるのだろうか、と不安になっている。
話を進めていくと、彼女は必要以上に他からの評価を大事にし、自分自身を自分が認めてあげることをおざなりにしていることに気づく。
自分がこれまでに学んできたすべてのこと、目に見えない能力=コミュニケーション力、調整力、想像力、洞察力、行動力。
人としてもキャリアとしても大切な能力は、これまでに積み重ねた仕事を通じて、知らず知らずに身についている。
社会的な地位、それらによる社会的な信用。
大手企業に勤めていて、高い職位を持っている。
人はここからその人の価値を見出そうとする。
社会の仕組みもそうなっている。これによりクレジットカードがつくれるし、お金も借りられる。
それに、評価は自分でするものではなく、他人がするものでしょ。その通り。
でも、それは追い求めるものではなく、その人の積み重ねた仕事の結果であってほしい。
結果として評価され、社会的地位、信用を得るものであってほしい。
追い求めたとたん、自分を見失う。
そうなると、会社にしがみついたり、地位にすがったり、自分が望まない形になってしまうのだ。
私たちは、何のために仕事をしようと思ったんだろう。
何のためにこの職場を選択し、たくさんの時間をそこで費やしているのだろう。
すべては自分のため。
自分が心から満足できる人生を送ることができるために、人としての魅力に最大限の厚みを持たせるために大変な時間を費やしているのだ。
他人に評価してもらうのは、その先に結果としてあるものだろう。
お金をもらうことも、その先の結果として存在するもの。
女性が出産するためにキャリアを中断するというのは、その時には大きなロスだと思えるが、よく考えれば、誰にでもできるわけではない、人間を生み出す作業をするのだから、人としてこんなに素晴らしいことはない。日常の仕事よりずっとずっと大切だ。
彼女はこの経験を経て、きっともっともっと素敵な女性になるだろう。
※写真は飯盛山登山の時の富士山
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